アスベスト(石綿)とは?
石綿(アスベスト)は、天然の繊維性けい酸塩鉱物の総称で、断熱性、耐火性、電気絶縁性、耐酸性、耐アルカリ性、吸音性、吸着性、引張り力などに強いという利点が多く、建築資材として多くの部位に使用されてきました。
アスベストの繊維は極めて細いため、飛散した場合に人が吸入してしまう恐れがあります。
また、アスベスト繊維は、体内で分解されず、肺の中に残り、肺線維症、悪性中皮腫、肺がんの原因の恐れがあると言われています。対象物質は、クリソタイル、クロシドライト、アモサイト、アンソフィライト、トレモライト、アクチノライトの6鉱物です。
これらの鉱物を0.1重量パーセントを超えて含有する材料が石綿含有建材として判定されます。
事前調査とは?
建築物や工作物などの解体や改修工事のため、既存建材を撤去する場合などに、あらかじめ、対象範囲の石綿等の使用を確認しておかなければなりません。
その方法は、設計図書での確認や目視、対象建材を採取し分析により石綿の含有を調査するなどです。
これらは、石綿障害予防規則第3条などに規定されています。
- 設計図書から、調査対象建材を見分けるポイント
- 目視調査において、現場で抑えておくべきポイント
特に、一般調査者や実地研修の経験の無い方向けのサービスです。
※費用については、調査規模や場所により異なりますので、お問合せください。
みなしによる石綿の取扱いはどうなるの?
事前調査で石綿等の含有が不明な場合に、対象となる建材を「石綿含有」とみなして取り扱うことができます。
この場合は、建材の石綿含有分析を省略できますが、石綿を含有する建材として取り扱うことが必要になります。そのため、建材の種類によっては、各種届出の手続きなどが必要です。
ただし、廃棄物の処理コスト(廃石綿・石綿含有産業廃棄物)と分析コストなどを比較した上でご判断ください。
事前調査の対象とならない作業とは
以下の作業は、石綿等の粉じんが発散しないことが明らかであることから、これらについては事前調査を行う必要はありません。
- 木材、金属、石、ガラス、畳、電球などの石綿が含まれていないことが明らかなものの工事で、切断等、除去または取り外し時に周囲の材料を損傷させるおそれのない作業
- 工事対象に極めて軽微な損傷しか及ぼさない作業
- 現存する材料等の除去は⾏わず、新たな材料を追加するのみの作業
- 石綿が使用されていないことが確認されている特定の工作物の解体・改修の作業 など
PDF:基発 0804第8号 令和2年8月14日
工作物とは?
特定工作物とその他の工作物に区分されています。
- 炉設備(反応槽、加熱炉、ボイラー・圧力容器、焼却設備)
- 電気設備(発電設備、配電設備、変電設備、送電設備)
- 配管及び貯蔵設備(炉設備等と連結して使用される高圧配管、下水管、農業用パイプライン及び貯蔵設備)※上水道管は除く
- 煙突
- トンネルの天井板
- プラットホームの上家
- 遮音壁
- 軽量盛り土
- 保護パネル
- 鉄道の駅の地下式構造部分の壁及び天井板(建築物(建屋)に付属している土木構造物)
- 観光用エレベーターの昇降路の囲い(建築物に該当するものを除く。)※
一般建築物石綿含有建材調査者
特定建築物石綿含有建材調査者
など
- 上記以外の工作物
建築物以外のものであって、土地、建築物又は工作物に設置されているもの又は設置されていたもののうち、上欄以外のもの。
(エレベーター、エスカレーター、コンクリート擁壁、電柱、公園遊具、鳥居、仮設構造物(作業用足場等)、遊戯施設(遊園地の観覧車等)等)
一般建築物石綿含有建材調査者
特定建築物石綿含有建材調査者
など
事前調査の報告が必要になる規模は?
事前調査の報告が必要となる規模は次の通りです。
- 解体工事部分の床面積の合計が 80m2以上の建築物の解体工事
- 請負金額が 100 万円以上である特定の工作物の解体工事
- 請負金額が 100 万円以上である建築物又は特定の工作物の改修工事
- 総トン数が20トン以上の船舶(鋼製のものに限る)の解体又は改修工事
これらの事前調査の結果は、管轄する労働基準監督署への報告が必要になります。
当社では工作物のみや船舶の事前調査は行っておりません。
工事費用に足場費用は含まれますか?
石綿障害予防規則等の一部を改正する省令案に関する意見募集(パブリックコメント)結果によると、届出対象の基準となる請負金額については、材料費も含めた工事全体の請負金額とすることとされています。
そのため、足場費用等も含めた金額として想定することができます。
「定性分析」と「定量分析」って?
定性 アスベスト(石綿)の定義である6物質を対象として含有の有無を調べる。
定量 含有が認められた建材に対して含有量(%)を調べる。
アスベスト(石綿)の分析に必要な建材の量は?
建材ごとに分析に必要な試料量は以下の通りです。目安としてお考えください。
外壁、仕上塗材:ゴルフボール1個分程度以上
吹付材、保温材:ゴルフボール2個分程度以上
成形板(スレート板、石膏ボード、天井材等):5cm×5cm 1個以上(厚みが0.5cm以下の場合はその2倍以上)
アスベストっていつまで使用されていたの?
石綿(アスベスト)および石綿製品は、2006年(平成18年)9月1日より製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止されました。
一般社団法人JATI協会によると次のようにまとめられております。
一般社団法人JATI協会
(石綿の使用は石綿の品種や使用量により段階的に禁止されてきました。)
・1975年(昭和50年)10月1日:5重量%を超える石綿の吹付け原則禁止
・1995年(平成7年)4月1日 :1重量%を超える石綿の吹付け原則禁止
・2004年(平成16年)10月1日:1重量%を超える石綿含有建材、摩擦材、接着剤等、10品目の禁止
・2006年(平成18年)9月1日:0.1重量%を超える石綿含有製品の禁止(一部猶予措置あり)
・2012年(平成24年):0.1重量%を超えるの石綿含有製品の猶予措置を撤廃
石綿は、一部の天然鉱物に不純物として含まれる可能性があり、これらの天然鉱物を原料として使用し石綿が0.1重量%を超えて含有する製品は禁止の対象となります。
昭和50年まで吹付石綿は使用され、その後石綿含有吹付けロックウールが昭和55年ごろまで使用されていました。(一部の工法(湿式)については昭和63年ごろまで使用されていました。)
また、石綿製品(石綿含有建築材料等)の商品名と製造時期は、日本石綿協会、ロックウール工業会、石膏ボード工業会のホームページに掲載されています。
・一般社団法人JATI協会
・ロックウール工業会
・石膏ボード工業会
アスベストを含んだ廃棄物ってどうやって捨てるの?
アスベストを含有した廃棄物は、大きく分けて「廃石綿等」と「石綿含有廃棄物」の2種類に区別されます。
「廃石綿等」とは、吹き付けアスベストや保温材・耐火被覆材等の主に飛散性の高い石綿含有廃棄物を示し、特別管理産業廃棄物に該当します。
「石綿含有廃棄物」は廃石綿等以外のものでアスベストを0.1%以上の割合で含むものが該当します。
具体的には主にスレート板やサイディング、Pタイルなどでアスベストを0.1%以上の割合で含むものなどです。
「廃石綿等」「石綿含有廃棄物」の処分は、溶融・無害化の中間処理後に安定型もしくは管理型最終処分場へ埋立処分する方法と、中間処理を行わず飛散防止対策を行い、安定型最終処分場へ埋立処分する方法があります。
なお、中間処理は都道府県許可の溶融施設か、環境大臣認定の無害化処理施設での処分となり、中間処理を行い処分する事が望ましいとされています。
(外部リンク)
廃石綿等の処理業者(環境省)
廃石綿の無害化処理認定施設(環境省)
石綿含有廃棄物等処理マニュアル(第2版)(環境省)
目で見るアスベスト含有建材(国土交通省)
アスベスト(石綿)に関する情報(岡山県)