サービスQ&A


フィットテストって何?


面体を有する呼吸用保護具は、顔面で気密を形成する方式のものですので、これらと着用者の顔との密着性が不十分だと環境中の有害物が漏れこむ原因となります。フィットテストは、この密着性(フィット)を評価する方法です。

フィットテストの主要な目的は、使用させている(又は使用させようとしている)面体の製品モデル及びサイズが着用者に適したものであるか否かを調べることです。もし不合格となった場合は、サイズの異なるもの、製品モデルが異なるもの、異なるメーカーの製品まで枠を広げ、合格する面体を探さなければなりません。



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どんな時にフィットテストが必要なの?


主に以下3つのケースで、フィットテストを実施する義務があります。

  • 屋内作業場において継続して金属アーク溶接等作業を行う作業者
    (特定化学物質障害予防規則 第38条の21)
  • 特別則に基づく作業環境測定の評価結果が第3管理区分に区分され、作業環境管理専門家が改善困難と判断した場合及び改善
    措置効果確認測定において、なお第3管理区分に区分された場合の措置として呼吸用保護具を使用する場合
    (有機則第28条の3の2、特化則第36条の3の2、粉じん則第26条の3の2、鉛則第52条の3の2)
  • リスクアセスメントに基づくリスク低減措置として呼吸用保護具を労働者に使用させる事業場
    (労働安全衛生規則第577条の2)


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どれくらいの頻度でやればいいの?


年1回、定期的に実施しなければなりません。記録は3年間保管となります。保存は紙でも電子媒体でも構いません。
また、着用者に次のような変化があった場合、面体の密着性に影響を与える可能性がありますので、フィットテストを実施しなければなりません。

  • 体重の著しい変化
  • 面体が密着する部分の傷跡、手術などによる変化
  • 歯の変化
  • 着用者の不快感


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フィットテストの発注や準備はなにが必要なの?


使用しているマスクのメーカー及び型式をお伝えください。
専用アダプターが必要な面体があり、実施まで2週間ほど準備期間をいただく場合もあります。

テスト当日は、フィットテストに使用する部屋として打合せ室や休憩室などの、比較的清潔な場所をご準備ください。
テスト前にはマスクを清潔な状態としてください。弁が汚れにより作動していなかったり、締め紐の劣化、弁やパッキンが外れているケースもあります。
※新品マスクでのテストをお勧めします。

またテストを行うマスクが不合格になる場合を想定して、複数種類のマスクの準備があると、なお良いです。


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フィットテストの定量と定性とは?


定量的フィットテストは、面体の接顔部からの漏れ量を、測定装置を用いて数値として計測する方法です。長所として、テスト時間が短いこと(短縮法を選択可能)やリアルタイムで漏れ確認ができる点があります。

定性的フィットテストは被験者の感覚(味覚や嗅覚)により、面体を着用しているときに試験物質を感じるか否かを調べる方法です。

長所として感覚で判定するため、マスクの効果を実感できる点があります。


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化学物質管理が見直されたのはなぜ?


国内で使用される化学物質は7万種類を超えていますが、規制されているものは石綿等管理使用が困難な8物質と特化則や有機則等の個別規則に概要する123物質しかありません。

そうした中で、化学物質による労働災害は年間450件程度で推移し、その8割が規制されていない化学物質の使用によるものです。
労働災害が発生して国が規制をすると、規制のない代替物質を利用し十分な対策を講じないことで労働災害が発生するような悪循環となっています。

こうしたことから、国がリスク評価に基づく個別管理から、事業者が取り扱う化学物質を調査(リスクアセスメント)し、ばく露を最小限にする自律型管理に見直されました。

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リスクアセスメント対象物質は増えるの?


労働安全衛生第57条の3第1項の規定による化学物質等の危険性又は有害性等の調査等(リスクアセスメントの実施等)を行わなければならない化学物質等は、現在の674物質に加え、234物質が追加されました。
これらはラベル表示、SDS交付も義務付けられています。
(令和6年4月1日施行 基発0224第1号 令和4年2月24日)

なお、令和4年度中に675物質、令和5年度中に827物質の追加が検討され、最終的には約2,900物質になる予定です。

 令和3年度 234物質・・・GHS分類で発がん性、生殖細胞変異原性、生殖毒性、急性毒性のカテゴリで区分1相当の有害性を有する物質
 令和4年度 675物質・・・令和3年度の物質以外で、GHS分類の健康有害性カテゴリで区分1相当の物質を想定
 令和5年度 827物質・・・GHS分類の健康有害性カテゴリで区分1以外の物質を想定

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リスクアセスメントの結果に基づく措置とは?


リスクアセスメントの結果に基づき、労働者が対象物質にばく露される濃度の低減措置を行います。
具体的には次のことを行います。

  1. 対象物質の使用を取りやめ、他の危険有害性の低い物質に変更する
  2. 発散源を密閉する設備、局所排気装置や全体換気装置を設置及び稼働(工学的対策)
  3. 作業方法の改善(管理的対策)
  4. 有効な呼吸用保護具の使用

低減措置としては、1番の対象物質の使用を取りやめることが最も効果がありますが、事業活動を行う上で、危険有害性の低い物質に切り替えることも効果があります。
4番の有効な呼吸用保護具は、1から3までの措置ができない場合の最終的な手段です。

また、リスクアセスメント対象物質のうち、一部の物質には濃度基準値が設けられます。
事業者はこれらの物質の製造又は取り扱う業務を屋内作業場で行う場合には当該業務に従事する労働者のばく露濃度を濃度基準値以下とする義務があります。

なお、リスクアセスメントの結果に基づく措置について、以下のことが義務付けられました。
  • 労働者がばく露される濃度の低減措置に対し、関係労働者の意見を聴くための機会を設ける
  • 労働者がばく露される程度を濃度基準値以下にする措置に対し、関係労働者の意見を聴くための機会を設ける
  • 2つの措置の状況について、1年を超えない期間ごとに1回、定期に、記録を作成し、保存すること。
  • 従事する労働者に周知させること

化学物質管理者とは?


(令和6年4月1日施行)

○リスクアセスメント対象物質を製造または取り扱う事業者において選任し、次の職務を行わせる

  1. ラベルやSDSの確認及びリスクアセスメントの実施の管理
  2. リスクアセスメントの結果に基づくばく露防止措置の選択、実施の管理
  3. 化学物質の自律的な管理に係る各種記録の作成・保存
  4. 化学物質の自律的な管理に係る労働者への周知・教育
  5. ラベルやSDSの作成(リスクアセスメント対象物質の製造事業者)
  6. リスクアセスメント対象物による労働災害が発生した場合の対応


○選任義務が発生した日から14日以内に選任しなければならない。

  • リスクアセスメント対象物質を製造する事業場 → 専門的講習の修了者より選任
  • リスクアセスメント対象物質を製造する事業場以外 → 専門的講習の受講は推奨


○化学物質管理者の氏名を事業場の見やすい箇所に掲示すること等により関係労働者に周知すること。

基発0531 第9号 令和4年5月31日
基発0907 第1号 令和4年9月7日( 一部改正)

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保護具着用管理責任者とは?


(令和6年4月1日施行)

○リスクアセスメントの 結果に基づく措置として、労働者に保護具を使用させるときに選任する。

  1. 有効な保護具の選択
  2. 保護具の保守管理
  3. その他保護具に化係る業務 ⇒ 防塵マスクの選定・使用についてH18指針他

○保護具着用管理責任者の選任は、選任すべき事由が発生した 日から14日以内に行う。

 保護具に関する知識及び経験 を有すると認められる者

○保護具着用管理責任者の氏名を事業場の見やすい箇所に掲示すること等により関係労働者に周知すること。

基発0531 第9号 令和4年5月31日
基発0907 第1号 令和4年9月7日( 一部改正)

参考:防じんマスク、防毒マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具の選択、使用等について(基発0525 第3号/令和5年5月25日)

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