カーボンニュートラル


カーボンニュートラルって何?


2020年10月26日、第203回臨時国会の所信表明演説において、菅義偉内閣総理大臣は「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言しました。
ここでいう「排出を全体としてゼロ」とは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から、森林などによる吸収量を差し引いた、実質ゼロを意味しています。

菅総理所信表明演説(首相官邸HP) 三 グリーン社会の実現


国立環境研究所 温室効果ガスインベントリオフィス「日本の温室効果ガス排出量データ」より経済産業省作成

引用HP:環境省脱炭素ポータル

低炭素社会から脱炭素社会へ「CO2の見える化」

カーボンニュートラルへはどうとりくめばいいの?


2021年4月に環境省から「中小規模事業者のための脱炭素経営ハンドブック」が発行されており、その中でカーボンニュートラルを達成するための脱炭素経営に取り組む考え方が示されています。

中小規模事業者のための脱炭素経営ハンドブック


方向性としては以下の3点です。

  1. 可能な限り、エネルギー消費量を削減する(省エネを進める)
    例)高効率の照明・空調・熱源機器の利用等
  2. エネルギーの低炭素化を進める
    例)太陽光・風力・バイオマス等の再エネ発電設備の利用、CCS7 付き火力発電の利用、 太陽熱温水器・バイオマスボイラーの利用等
  3. 電化を促進する(熱より電力の方が低炭素化しやすいため)
    例)電気自動車の利用、暖房・給湯のヒートポンプ利用等

図.温室効果ガス大幅削減の方向性


また、脱炭素に向けた計画を作るにあたっては、次の4つのステップで削減可能性を探っていくことになります。

図.削減計画策定のフロー

出所)環境省 中小規模事業者のための脱炭素経営ハンドブック

低炭素社会から脱炭素社会へ「CO2の見える化」

再生可能エネルギーとカーボンニュートラルは関係あるの?


エネルギー起源CO2の排出量を考える際の指標として、「エネルギー消費量」と「CO2排出原単位」があります。「エネルギー消費量」はその名の通り、エネルギーをどれだけ使用するのかという意味です。
一方、「CO2排出原単位」とは、燃料を燃焼したり電気や熱を使用するなど、ある一定量のエネルギーを使用する際に、どのくらいのCO2が排出されるかを示すものです。燃料を燃焼したり電気や熱を使用したりすることで排出される「エネルギー起源CO2」は、以下の式で表されます。

エネルギー起源CO2の排出量=CO2排出原単位×エネルギー消費量




出典)第3回 グリーンイノベーション戦略推進会議


上の図でいうと、縦軸のCO2排出原単位と、横軸のエネルギー消費量をかけ合わせたもの(つまり、面積に該当するもの)が「エネルギー起源CO2の排出量」になります。カーボンニュートラルを達成するためには、「CO2排出原単位」と「エネルギー消費量」を低減し、この面積をゼロにしていく必要があります。
再生可能エネルギー(再エネ)では「電源(電気をつくる方法)」の非化石化をすすめることにより「CO2排出原単位の低減」に寄与することにつながります。

引用HP:資源エネルギー庁カーボンニュートラルって何ですか?(後編)

低炭素社会から脱炭素社会へ「CO2の見える化」

カーボンニュートラルって大手企業が取り組むことじゃないの?


地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)では温室効果ガスを多量に排出する者は、自らの温室効果ガスの排出量を算定し、国に報告する義務があります。また、エネルギー合理化等に関する法律(省エネ法)により年1%の削減努力が規定されています。

では、法律に適用しない事業者は何もないかというと、取引先が野⼼的な取組を推進している場合、サプライヤーに対しても脱炭素に向けた⽬標設定や再エネ調達などを求める場合があります。取引先からエネルギーや温室効果ガスに関する調査票への回答など対応が必要な場合もあります。

SBTの取組

低炭素社会から脱炭素社会へ「CO2の見える化」