「バックキャスティング」という新しい考えを聞いたけど、それって何?
最終更新日:2017/09/01
「バックキャスティング」とは、複数あり得る未来の中から、自分を含めてみんなにとって「こうありたい未来」「こうあるべき未来」を最初の段階で決めてしまい、それを実現するために今なすべきことを考え、分析し、具体的に実行することです。
スウェーデンの環境NGO(非政府組織)である「ナチュラル・ステップ」の創始者であるカール・ロベール氏が提唱し、地球温暖化などの議論の場に、このバックキャスティングという考え方が持ち込まれています。
バックキャスティングは、現在、起きている様々な事象の延長線上に未来があると考える方法「フォアキャスティング」とは対照的であり、結論ありきで、その結論に至るまでの過程を具体的に実行していくことです。
なお、OECD(経済協力開発機構)が1994年から始めた環境保全型交通体系(ETS)の中で、このバックキャスティングという考え方を使って、運輸部門から排出される2030年の二酸化炭素(CO2)を中心とした地球温暖化ガスの排出許容値を目標値として定め、その目標値を達成するためには何をどのように行うべきかという視点で議論を進めています。
日本でも、バックキャスティングを自社の環境問題に当てはめようとする先進企業も出てきており、まず先に中長期の環境ビジョンを描き、それを踏まえたうえでCO2の排出を削減したり、環境負荷を削減するために「3R」を実行したりするなどの取り組みがなされています。