「バーチャル・ウォーター」って何?
最終更新日:2017/09/01
世界では約11億人もの人間が安全で清潔な飲料水を手に入れられず、約26億人がトイレなど基本的な衛生施設を利用できないなど、一言でいえば「水不足」というのが、現在の地球の状態です。
また、急激な人口増加や地球温暖化によって、世界の水不足はさらに深刻化しています。
例えば、日本は1年間で約2400億立方メートルの水が利用可能で、使用量はそのうち約835億立方メートルと水資源に恵まれているようにみえますが、実は農畜産物の輸入という形で、海外の水に依存しています。
こうした直接目には見えないけれど、背後に大量の水利用がある事実ものも含め、必要とされる水の量をカウントしたのが、「バーチャル・ウォーター」なのです。
バーチャル・ウォーターの専門家である東京大学の沖大幹教授によると、日本のバーチャル・ウォーターの1年間の輸入量は640億立方メートルにのぼり、国内の灌漑用水使用量を上回るということです。
バーチャル・ウォーターの輸入先は、米国が1位で約389億立方メートル、2位のオーストラリアの約89億立方メートル、そして3位はカナダの約49億立方メートルと続きます。
バーチャル・ウォーターが最も使われているのがトウモロコシで、それ以外に牛、大豆、小麦などがあります。
つまり、深刻化している世界の水不足は日本にとって他人事でなく、食料不足などとなって日本に影響をおよぼすこととなり、このことを私たちに分かりやすく示してくれるのが、バーチャル・ウォーターという考え方です。