RPS制度って何?
RPS制度とは、エネルギーの安定的かつ適切な供給を確保及び新エネルギー等の普及を目的に、電気事業者に対して、毎年その販売電力量に応じた一定割合以上の新エネルギー等から発電される電気の利用を義務付けた制度です。
RPSは、Renewables Portfolio Standardの頭文字です。日本では、RPS法(2002)に基づくRPS制度が2003年4月から施行されています。
電気事業者は、義務を履行するため、自ら「新エネルギー等電気」を発電する、もしくは、他から「新エネルギー等電気」を購入する、または、「新エネルギー等電気相当量(法の規定に従い電気の利用に充てる、もしくは、基準利用量の減少に充てることができる量)」を取得することになります。
市場原理が働くことで、決められた再生可能エネルギーの総量をもっとも安いコストで達成することができるとする制度です。
具体的には、ある国ないしは地域における再生可能エネルギーによる電力供給総量を決め、各電力小売事業者に対しそれを配分し、各事業者は配分された供給量を供 給する責務を負う。
過剰に供給する事業者はその分を他の業者に「グリーン証書」として販売できる。義務量を達成できない事業者は他の事業者等から「グリーン証書」を購入しなければならない。
アメリカにおける二酸化硫黄の排出権取引や京都議定書における温室効果ガスの排出権取引などと同じ発想です。
温室効果ガスの「排出枠/排出量取引」って何?
「排出枠(排出権ともいう)」とは、二酸化炭素(CO2)をはじめとする温暖化ガスを「ここまで排出していいですよ」という許可を示しています。
「排出量取引」とは、温暖化ガスの排出量に関する何らかの規制値を超えている国(政府)や企業などが、規制値を超過していない国や企業などから、排出枠を売買できる(取引できる)仕組みを指しています。
排出量取引の代表的な方式が「キャップ・アンド・トレード」と呼ばれるもので、まず国や企業が排出する温暖化ガス量の上限(キャップ)を決め、国や企業はこの上限を超えないよう努力して、温暖化ガスの排出削減に取り組みます。
しかし、努力しても目標を達成できない場合(上限を超えてしまう場合)、上限よりも少ない国や企業などから超えた分と同じ量を排出枠として購入して、超過分と相殺するというものです。
「京都議定書」では先進国に地球温暖化ガスの削減義務を課したが、実際のところ国内だけで京都議定書の目標を達成できる国は少なく、排出枠を先進国間で取引する国際排出量取引の活用を認めています。
排出量取引では、キャップ・アンド・トレード方式で英国が2002年に自国内で排出量取引を開始しており、EU全体で見ると、世界で初めての多国間での排出量取引制度(EU-ETS)が2005年に開始し、企業に割り当てられた排出枠を直接売買できる市場が既に形成されている。
これに対して日本では、環境省が2005年度にようやく「自主参加型国内排出量取引制度(JVETS)」を開始し、2008年度には排出量取引の国内統合市場に向けて、試行的な実証実験がスタートしました。しかし排出量の上限に賛成する企業が自主的に集まって定める内容にとどまっています。
一方、経済産業省では、中小企業によるCO2排出削減を支援する「国内クレジット制度」を2008年10月から開始し、ここで発行される排出枠は大企業などが買い上げ、自主行動計画の目標達成などに生かせるようにしています。
なお東京都では20010年4月から、一定規模以上の事業者を対象にCO2の総量削減を義務付ける「温室効果ガス排出量削減義務と排出量取引制度」がスタートしています。この制度により、国内で初めて本格的なキャップ・アンド・トレード方式の排出量取引が始まります。