おかやま大野ダルマガエル保全プロジェクト
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目的
市民、企業、行政、教育・研究機関等が連携したダルマガエルの保全活動を行い、身近な自然環境に対する地域住民の意識を高めることで、環境と調和した魅力ある地域づくりに貢献する。
活動内容
①ダルマガエルの生息環境の確保・維持管理
②ダルマガエルの保全に関する啓発・普及
③ダルマガエルの保全に関する調査・研究
④その他、本会の目的を達成するために必要な事業
※おかやま大野ダルマガエル保全プロジェクト 会則より抜粋 -
撮影:貸谷(おかやま大野ダルマガエル保全プロジェクト)
ダルマガエルとは?
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ずんぐりとした体つきに「グエェェェ」という鳴き声が特徴のダルマガエル。正式な種名はナゴヤダルマガエルといいます。
環境省、岡山県ともに「絶滅危惧種」に指定されている貴重な生きもので、東海地方、および長野県の限られた地域に生息しています。とくに瀬戸内海沿岸のダルマガエルは「岡山種族」と呼ばれ、独特の模様や生態をしています。
ダルマガエルの主なすみかは、私たちの身近にある田んぼです。
しかし最近では、田んぼを埋め立てたり水が汚れてきたりして、ダルマガエルの数が減ってきています。
サンキョウ-エンビックスの
保全活動
参加のきっかけ
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岡山市北区の大野学区は、矢坂山・魚見山や笹ヶ瀬川といった自然に恵まれた田園風景が広がる緑豊かな地域ですが、同地区では、岡山市開発行為の許可基準等に関する条例で新たに開発を許容する地区に指定されたことから、2005年から2007年にかけて大規模な開発が相次ぎました。当社もこの開発の中で大店立地法に関する業務に携わっていましたが、条例手続きの中で開発地には絶滅危惧IB類(環境省レッドリスト)、絶滅危惧I類(岡山県)に指定されているナゴヤダルマガエル(岡山種族)(以下、ダルマガエルという)が生息していることが分かり、ダルマガエルの保護が必要となりました。
2005年、現在の「おかやま大野ダルマガエル保全プロジェクト」の前身となる「野殿ダルマガエル引越しプロジェクト」を大野学区連合町内会や岡山の自然を守る会、企業(出店企業2社とサンキョウ、ウエスコ)、専門家(当時、川崎医大附属高校教諭の伊藤先生)、岡山市 岡西公民館で立ち上げ、保全活動がスタートしました。
引越し作戦
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2005年10月
「野殿ダルマガエル引越しプロジェクト」による初回の引っ越し作戦を行い、参加者約150名で約1100匹のダルマガエルを捕獲し、引っ越しを行いました。クリックで記事拡大表示
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2006年5月
二回目の引っ越し作戦では、参加者約200名で約1200匹のダルマガエルを捕獲し、引っ越しを行いました。クリックで記事拡大表示
以降、水田が埋め立てられる際に、近くの水田にダルマガエルを引っ越しさせる救出作戦を随時行っています。
2006年9月、「野殿ダルマガエル引越しプロジェクト」から「ダルマガエル保全プロジェクト」に移行し、救出活動から保全活動へシフトしました。
ブランド米「大野ダルマの大合唱」
近年、水田を宅地や商業地へ転用する市街化が進んでいます。
生活の利便性が向上する一方で、住民同士のつき合い方の変化や、コミュニティへの住民意識・関心の低下等により地域のつながりが希薄になりつつあります。また、地域内の水田では、農業を営む営農者が減少、高齢化、後継者不足により、持続するのが困難な状況にあります。
そんな中、ダルマガエル保全田んぼ(愛称:ダルたん)での田植えや稲刈り、田んぼで採れたお米で作ったおにぎりを食べる収穫祭などのイベントには、毎年、地元大野幼稚園をはじめ、地元住民や市内の家族連れなど100人ほどが集まり、生き物と食べ物の大切さを肌で感じる憩いの場として親しまれています。
生活の利便性が向上する一方で、住民同士のつき合い方の変化や、コミュニティへの住民意識・関心の低下等により地域のつながりが希薄になりつつあります。また、地域内の水田では、農業を営む営農者が減少、高齢化、後継者不足により、持続するのが困難な状況にあります。
そんな中、ダルマガエル保全田んぼ(愛称:ダルたん)での田植えや稲刈り、田んぼで採れたお米で作ったおにぎりを食べる収穫祭などのイベントには、毎年、地元大野幼稚園をはじめ、地元住民や市内の家族連れなど100人ほどが集まり、生き物と食べ物の大切さを肌で感じる憩いの場として親しまれています。
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ダルマガエルの保全活動を始めて10年目の2014年、活動の更なる活性化に向けて、岡山県の「多様な主体の協働による地域支援事業補助金」を活用し、大野学区内で生物に配慮しながら育てられたお米をブランド化することを決めました。これは上記課題の解決にも有効であると考え、「大野ダルマの大合唱」の企画に取組みました。
消費者は、地元のブランド米によって田んぼの持つ多面的な機能(食料供給、気候調整、文化・景観、生物多様性)を再認識するとともに、食の安心、地域への関心、そして生き物への好奇心を感じることができます。そうした付加価値によって、生産者と消費者、生産地域につながりが生じることになり、引いては持続的な営農や地域活性化に結びつくことが期待されます。
この輪を広げるためには、生産と消費が地域で循環する持続的な仕組みづくりが必要です。この取組みでは、どんぐりポイントを導入し、ポイント付きのお米を買った消費者からプロジェクトにポイントが贈られ、集まったポイントを還元してダルマガエルの生息環境の整備に役立てる、といった仕組みを構築しました。
(多様な主体の協働による地域支援事業成果報告参照)
この取り組みの循環で生まれる4つの喜び
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ダルマガエル保全によるお米づくりのやりがい
お米にポイントがつくことによって、他の商品との差別化が図られる。それにより消費者とのコミュニケーション(やりとり)が生まれ、マーケットの広がりや、地域貢献につながる。 |
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お米の購入と地域貢献、環境貢献の循環
消費者が、自然環境に配慮したお米を買った満足感に加え、ポイントというイニシアチブが得られる。さらに集めたポイントが何に使われるかが明確なため、消費者自身もダルマガエルの保全に役立つと感じることができる。 |
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ダルマガエル保全活動の賑わいによる地域活性化
ダルマガエル保全活動イベントの参加者増加、情報発信や取材の増加、ダルマガエル保全の営農活動の推進により地域が賑やかになる。それにより、多様な人々が地域内に入ってコミュニティが活性化される。 |
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ダルマガエル保全活動への支援
集めたポイントを還元して、ダルマガエルの棲みやすい田んぼの環境を整える。(例:保全田んぼへ溝を掘るなど)これにより、次の年もその次の年もダルマガエルの鳴き声が聞こえる多様な生物が棲む田んぼが維持されていく。 |

環境ラベル
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「大野ダルマの大合唱」には、商品のCO2排出量と同等量のカーボンオフセットを行うことで、その商品にポイントを付与し、ポイントを集めるとコミュニティにおいて商品や寄付に還元することができる仕組みである「どんぐりポイント」(環境のベルマークとも呼ばれている)の制度を活用しています。
お米の生産・販売・消費に関わるCO2排出量を当社で算定し、環境ラベルのカーボンフットプリントを取得し、岡山市の廃食用油からBDF精製に関わるクレジットでオフセット(カーボンオフセットの地産地消)することで「どんぐりポイント」を付与しています。
(参照:多様な主体の協働による地域支援事業成果報告 )
過去のイベント等(プロジェクトの活動)
- ダルマガエルの生息調査(年間を通じたモニタリング、イベントとしての観察会など)
- 開発予定地からの引っ越し作戦
- 保護水田の維持管理
- 稲作体験・環境学習イベント(田植え・稲刈り体験、収穫祭ではしめ縄作りやカエルクイズ、写生大会など)
- 各種イベントでのPR活動(地元の大野ふれあいの会、岡山市等のイベントなどでのブース出展)
- ブランド米「大野ダルマの大合唱」のPR(西川緑道公園で開催されるマルシェ「いち」への出店)
- 情報発信(ブログ、学会発表、各種メディア等)